Health Running Training

ノーベル賞からわかる低酸素トレーニングの効果

低酸素トレーニングの効果について知りたい人
「ノーベル賞で低酸素が話題になっているけど、低酸素トレーニングって効果あるのかな…?低酸素トレーニングの効果について知りたいです。」

こんな疑問に答えます。

こんにちは。キクチです。

先日、2019年のノーベル賞が発表されました。

2019年のノーベル医学生理学賞を受賞したのは「低酸素応答」のメカニズムを解明したアメリカのジョンズ・ホプキンス大のグレッグ・セメンザ先生に授与されると発表されました。

「低酸素応答」とは?

ざっくり説明すると、

人間は低酸素状態になると「エリスロポエチン」というホルモンが増え、赤血球が多く作られます。
細胞の酸素が不足すると、HIFというタンパク質が作られるのですが、このタンパク質があることによってより多くの酸素を取り込めるんです。
なので、低酸素の環境でも生きていける。

という感じです。

参考文献

Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2019

「低酸素応答」について詳しく知りたい方はこちらがわかりやすいです。

この「低酸素応答」をスポーツに応用しているのが、低酸素トレーニング高地トレーニングというわけです。

つまり、

  • 酸素が薄い状態でトレーニングする
  • 赤血球が多く作られる
  • より多くの酸素を体内に運搬できる
  • 持久力が上がる

という、メカニズムです。

標高が高いところは酸素が薄いのため、エチオピアとかケニアの長距離ランナーが強いことにも関係しているかもしれませんね。

首都 標高
アディスアベバ
(エチオピア)
2,355m
ナイロビ
(ケニア)
1,795m

今回は低酸素トレーニングや高地トレーニングの効果について調べてみましたので、この記事を読むと低酸素トレーニングの効果についてわかると思います。

言葉の定義として、

高地トレーニングは標高が高いところでトレーニングすること
低酸素トレーニングは人工的な低酸素環境でトレーニングすること

と、なります。

こちらの記事は横浜の全力中年さん高地トレーニングの効果と最新セオリー。を参考に記事を作成させていただきました。

低酸素環境でトレーニングするなら「Living High, Training Low」が効果あり


「Living High, Training Low」とは、

標高が高い場所で暮らし、トレーニングは標高が低い場所で行う

ことです。

1997年にアメリカのIEEMから発表された研究では、39人の長距離ランナー(エリート)を3つのグループに分けてます。

1. Live high - Train low
標高2,500mで生活、標高2,500mでトレーニング

2. Live high - Train high
標高2,500mで生活、標高1,250mでトレーニング

3. Live low - Train low
標高150mで生活、標高150mでトレーニング

実験中、定期的に5,000mのタイムを計測しているのですが、5,000mのタイムが向上したのは「Live high - Train low」のランナーだけだったんです。

また、標高が高いところで生活したLive highのランナーは赤血球の量が約9%増加していました

なぜ、「Live high - Train high」はタイムが向上しなかったのか?


標高が高いところでトレーニングをすると、多くの酸素を体内に取り込めないため、高い強度のトレーニングができません。

そのため、筋力の低下につながり、ランニングのパフォーマンスが向上しづらいようです。

なので、標高が高いところで生活することで赤血球を増やし、低地でトレーニングする「Living High, Training Low」が推奨されています。

その理屈で言うと、エチオピアやケニアの選手は標高2,000mくらいのところで生活しているので、国立競技場(標高:約30m)で走ったら、ものすごい記録が出そうですね。

2020年の東京オリンピックや東京マラソンに期待です。

ちなみに、2001年にアメリカで発表された論文でも、

「Living High, Training Low」のランナーが海抜レベルで走るとランニングパフォーマンスが1.1%向上した

と言っています。

参考文献

‘‘Living high-training low’’: effect of moderate-altitude acclimatization with low-altitude training on performance

2007年アメリカから出ている研究や、2016年韓国のコングク大学の研究(メタ分析)でも、長距離ランナー(エリート)が高地トレーニングすると持久力上がったようです。

参考文献

Military applications of hypoxic training for high-altitude operations.
The effects of altitude/hypoxic training on oxygen delivery capacity of the blood and aerobic exercise capacity in elite athletes – a meta-analysis

日本で最も標高が高い県庁所在地は長野市の371.3m。

なので、長野に住んでるランナーが東京マラソンで走るといいことあるかもです。
とはいえ、300mの差なのでほとんど差はないと思いますが(笑)

でも、毎年、1月に開催される都道府県駅伝を見ると、いつも長野は駅伝強いので、もしかしたら影響あるかも?

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人工的な低酸素環境でのトレーニング効果

日本に住んでる人が人工的な低酸素環境でトレーニングするのって、先ほどの例でいうと「Living Low, Training High」ですよね。

「Living Low, Training High」に関する研究はあまりなかったのですが、2001年にスイスから発表されてました。

この実験は、人工的な低酸素環境で自転車を用いた実験なのですが、普段トレーニングしていない成人男性33名を4つのグループに分けてます。

運動の強度 標高
3,850m 600m
80% Aチーム Bチーム
67% Cチーム Dチーム

トレーニングを6週間してもらい、太もものサイズ(MRI測定)や筋肉のミトコンドリアのサイズ測ってます

その結果、

Aチームのみ
太もものサイズが5%アップ
ミトコンドリアのサイズが59%アップ

ただし、最大酸素摂取量に変化はなかったので、瞬発的なスポーツをしているアスリートの方は低酸素トレーニングでパフォーマンス上がるかもですね。
そして、低酸素トレーニングをするなら、それなりの運動強度が高くないとメリットなさそうです。

参考文献

Training High - Living Low: Changes of Aerobic Performance and Muscle Structure with Training at Simulated Altitude

他の論文では、定期的な低酸素トレーニングにより、赤血球量の増加やミトコンドリア密度の増加が期待できると書いてあるため、低酸素トレーニングはランニングやマラソンのパフォーマンスを向上させる効果があるかもですね。

参考文献

IS LIVE HIGH/TRAIN LOW THE ULTIMATE ENDURANCE TRAINING MODEL?

世界最大級の低酸素トレーニングジム日本上陸


2019年11月1日より東京の豊洲に世界最大級の低酸素トレーニングジムが利用できるようです。

ノーベル賞を狙ってこのタイミングだったんですかね?
だとしたら、アシックスさんマジですごいです。

ASICS SportsComplex TOKYO BAYの料金

種類 価格(税別)
体験 4,5001
入会金 30,000
月会費 20,000
ビジター利用 10,0001

※ 価格は2019年10月10日のものです。

もし、興味があれば、10月10日より先着1000名限定で早期入会キャンペーンがあるみたいなので、体験予約してみるといいかもです。

参考記事

"標高4000mの高地トレーニング"を実現、アシックスが世界最大級の都市型低酸素ジムを公開

箱根ランナーがプロデュースしたSPORTS SCIENCE LAB


元・箱根ランナーの八木勇樹さんがプロデュースした「SPORTS SCIENCE LAB」も低酸素環境でのトレーニングや自分自身のアビリティの測定ができます。

人工的に低酸素でトレーニングできるマスクがあります


ちなみに低酸素トレーニングを手軽に行う手法としてトレーニングマスクというのがあるのですが、マスクを使った実験でも最大酸素摂取量は変わらなかったみたいです。

参考文献

Efficacy of a Ventilatory Training Mask to Improve Anaerobic and Aerobic Capacity in Reserve Officers' Training Corps Cadets

2015年のテキサス大学の研究では標高3,000mの環境に設定したマスクを着用して3週間ランニングのトレーニングをしてもらったのですが、

タイムは向上しない
安静時の心拍数が悪化

という結果みたいです。

参考文献

Physiological Change Through Aerobic Exercise Under Hypoxic Conditions With An Elevation Mask

仮説

これはあくまで僕の考えなのですが、持久能力を高めるには、低酸素環境である程度生活する必要があるのかなと思います。
なので、トレーニングマスクが悪いというわけではなく、トレーニングマスクを着用して生活し、マスクを外してトレーニングするという

人工的な「Living High, Training Low」だったら、効果あるんじゃないかな?

という僕の仮説なのですが、どうでしょうか。

トレーニングマスクのリンクを貼っておきますので、どなたか検証してみてください(笑)

また、そんな論文がありましたら、お問い合わせTwitter(@atskikuchi)のDMで教えていただけると嬉しいです。

それと、もし、ASICS SportsComplex TOKYO BAYに行かれた方はその感想も聞かせてくださいね。

それでは!

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