気温が高いマラソンでも速く走りたい人
「オリンピックのマラソンのコースが東京から札幌に変更という話が出てきたけど、気温が高いマラソンで速く走りためにはどうしたらいいのだろう?」
こんな疑問に答えます。
こんにちは。キクチです。
IOCがマラソンや競歩の開催地を東京から【札幌】への変更を検討しているという驚きのニュースがありました。
8月は札幌の方が東京よりも、5〜6℃低いようですので、パフォーマンスや選手の安全を考慮すると確かに適切な場所かもしれませんね。
「マラソンは気温が高いとキツくなる」というのは以前にもこちらの記事で紹介しましたが、
という論文が出ていましたので、この記事でご紹介したいと思います。
この経緯としては、2019年9月にカタール・ドーハで開催された世界陸上が関係しています。
カタール・ドーハは気温30℃、湿度70%という、過酷なポンディションだったため、女子マラソンにおいては出場選手68名のうち、28名が途中棄権という事態に及びました。
マラソンは気温の影響を受けやすいスポーツのため、選手のパフォーマンスや生命の安全を考慮したようです。
フルマラソンでタイムを縮める5つの方法(キプチョゲ選手の1時間59分40秒のレースを科学する)
なぜ、キプチョゲ選手がフルマラソンで2時間を切れたのかを分析した結果、5つの要素を見つけました。
2012年、フランスのパリから出ている論文では、2001年から2010年までに開催された6つのマラソンレースに出場した179万人の結果をまとめてくれているのですが、マラソンで速く走るためには3.8〜9.9℃が最適だというデータが出ています。
参考文献
Impact of Environmental Parameters on Marathon Running Performance
また、「体の深部体温がマラソンのパフォーマンスに影響する」というデータが出てきたため、気温が低いとマラソンを速く走れるのも、もしかしたら、この深部体温が関係しているのかもしれません。
今回は、深部体温とマラソンの関係について調べてくれている論文を紹介したいと思います。
参考文献
Novel application of chemical cold packs for treatment of exercise-induced hyperthermia: a randomized controlled trial.
Cooling during exercise enhances performances, but the cooled body areas matter: A systematic review with meta-analyses.
マラソン当日の気温が高い場合は、スタート前に深部体温を冷やすとパフォーマンスアップ!
2019年、フランスのポワティエ大学から興味深いデータが発表されました。
結論から言うと、
ようです。
しかも、この研究は運動パフォーマンスと体の温度に関係する先行研究1,582件のメタ分析を行なっているものなので、かなり信頼性の高い研究となっております。
この論文では、レース前に頭と首を冷やすことによって、有酸素運動のパフォーマンスが改善される(効果量:0.60)と報告しています。
また、面白いのが、レース時の気温があまり暑くなかったとしても、首や頭を冷やすことによってパフォーマンスが上がると言ってます。
マラソンに最適な気温は3.8〜9.9℃であることは、以前にもお伝えしましたが、15℃程度の気温だとしても体を冷やすことを考えてみてもよさそうです。
秋・春のレースは気温が20℃まで上がるというレースも珍しくないので、もし、記録を狙うという場合はアイスバックを1つ用意しておくといいですね。
アイスパックはレース後のアイシングにも使えます。
レース後にアイシングを行うと、疲労感や筋肉痛が軽減できるという研究データも出ているため、パフォーマンスアップのためにも、リカバリーの意味でもアイスバックはランナーに必需品のアイテムと言えそうです。
1,000円くらいで買えるので、よかったらどうぞ。
また、レース前に体を冷やすとなると、アイスバッグ以外に必要なのが「氷」ですよね。
氷はレース前日から近くのコンビニで準備しておくといいと思います。
前もって用意しておくと、レース当日に焦る必要ないですからね。
前泊でレースに臨む場合は、ホテルの受付で製氷機がないか確認しましょう。
もし、製氷機がない場合は、氷がもらえないか交渉してみるのもアリです。
ホスピタリティ精神に溢れるホテルの場合、高い確率で氷をもらえますよ。
レース中は手や頭、首を冷やす
レース中はなかなかアイスバッグを持って走ることが難しいですが、手のひらを冷やすだけでも深部体温が下がるという研究データがあります。
2015年、スタンフォード大学の研究によると、手のひらを冷やすだけで体の深部体温が下がり、筋出力が上がるみたいですよ。
これについて分かりやすく解説してくれている記事があったので、よかったらこちらの記事も合わせてご覧ください。
参考
レース中、給水所などに氷が用意されていれば、氷をうまく使って手のひらや首回りを冷やしましょう。
キャップを使用して走る場合は、キャップの中に氷を入れて走るのも効果的です。
実際にMGCの時は多くの選手がキャップの中に氷を入れて走ってましたね。
使用するキャップは、速乾性・通気性があり、軽量のものがいいと思います。
また、ネッククーラーを使うと両手を塞がずに首もとを冷やせるため便利ですよ。
マラソン当日はレース後もアイシングでしっかりケア!
先ほども少し紹介したのですが、レース後はアイシングをすると疲労感や筋肉痛の軽減ができます。
これに関しては深部体温を下げるというよりは、炎症作用を抑えるのが目的ですので、痛みを感じる部位をアイスバッグで冷やせばOKです。
もし、アイスバッグを持っていなければ、水風呂でもOKです。
マラソンを走り終えた後、近くに温浴施設があれば、温かいお風呂だけでなく、水風呂に10分くらい浸かるといいみたいですよ。
リカバリーについてはこちらの記事に書いておりますので、よかったらどうぞ。
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まとめ
レース前は首や頭を冷やして、レースに臨むとよさそうです。
そして、レース中も水や氷をうまく使って、手のひらや頭を冷やしながら走ることでパフォーマンスの向上が期待できそうですよ。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
他にも「マラソンと深部体温」に関する論文がありましたら、Twitter(@atskikuchi)のDMで教えていただけるととても嬉しいです。
それでは!