脳に及ぼすランニングの効果について知りたい人
「ランニングすると脳にいいって言われているけど、実際のところ効果ってあるの?脳に及ぼすランニングの効果について知りたいです。」
こんな疑問に答えます。
こんにちは。キクチです。
今回は「脳に及ぼすランニングの効果」というテーマで論文を紹介したいと思います。
2014年、サイエンス誌に掲載された研究でとても衝撃のデータがありました。
カナダのトロントで行われたマウスの研究なのですが、その研究の内容をまとめると、
という、とても衝撃の事実でした。
参考文献
Hippocampal Neurogenesis Regulates Forgetting During Adulthood and Infancy
この研究をきっかけに、
という考えが出てきたのですが、これはあくまでマウスで行われた実験なので、人間にも同様の効果があるとは言い切れません。
そのため、人間に生理学的に近いラットで同じような研究が行われました。
参考文献
ランニングをしても脳の記憶力には悪い効果はない
2014年、カナダで行われたマウスの実験では
ことがわかりましたが、
2016年、アメリカで行わせた実験では、人間に生理学的に近いラットを用いて同様の実験を行なっています。
実験ではラットを
- ランニングするチーム
- ランニングしないチーム
に分けて、ランニングが脳に及ぼす効果を検証しています。
ランニングするチームは4週間で約48マイル(約77km)走ったようなんですね。
月間77kmって、1日2.8kmランニングするイメージなんですけど、ラットにしてはかなり走ってますよね。
ちなみにランニングするチームのラットはランニング開始から、4週間後と8週間後で神経系の計測を行っています。
その結果、
というデータが出ています。
特に、ランニングの距離が多いほど、神経細胞の数が増えるという相関があるのですが、特に記憶力が改善するような結果は得られなかったとのことです。
また、脳の記憶力についても、ランニングが悪影響を及ぼしていないようなので、少し安心ですね。
ただ、この研究もラットの研究なので、あくまで可能性の話であることはご承知ください。
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ランニングは脳の神経を増やすため、うつにも効果あり
論文の中で「神経細胞は、平常の気分を保つこと、、記憶能力や学習能力にとって重要である。」と説明されており、筆者は「今回の実験データは【ランニングがうつにいい】と言われている理由になりうるのでは?」と言っています。
特に秋から冬は気分が落ち込みやすく、「うつ」の発症リスクが高まると言われていますが、、、
どうやら日照時間が短くなることで、脳内物質の「セロトニン」が生産されづらくなることが原因のようです。
参考サイト
秋〜冬の日照時間を伸ばすため、海外に移住するのも一つの対策ですが、実はランニングをするとセロトニンが分泌されることがわかっています。
ランナーのみなさんなら体験したことあると思うのですが、走っているだけで気持ちよくなってしまう「ランナーズハイ」も、このセロトニンが関わっていると言われています。
2009年、アメリカのイリノイ大学の研究では、20分の軽いウォーキングでも脳の幸福感を司る分野が活性することがわかりました。
左:座ったままの脳、右:20分ウォーキングをした後の脳
参考文献
Physical activity may strengthen children's ability to pay attention
また、2012年のアメリカの研究では、運動によって幸福感は高まるのか?という実験を行なっているのですが、普段運動していない人でも、運動した当日は幸福感が増したというデータがあります。
このデータの面白いところは
- 定期的な運動あり + 測定日も運動あり
- 定期的な運動あり + 測定日は運動なし
- 定期的な運動なし + 測定日は運動あり
- 定期的な運動なし + 測定日も運動なし
の4つのチームに分けて、幸福感について検証したところ、
もっとも幸福感が高かったチームは「定期的な運動あり + 測定日も運動あり」のチームだったのですが、2位は「定期的な運動なし + 測定日は運動あり」だったんです。
そして3位が「定期的な運動なし + 測定日は運動あり」。
つまり、定期的な運動も大事ですが、ランニングは幸福感をもたらす即効性があると言えます。
参考文献
Differential effects of acute and regular physical exercise on cognition and affect.
ただ、あまりキツいランニングは脳にもあまりよくないみたいなので、ランニングで脳への効果を期待している方はそこそこの強度で行うのがいいでしょう。
まとめ
2014年にサイエンス誌に掲載されたマウスの実験は衝撃の結果でしたが、その後のラットの研究ではランニングは脳の記録力に悪い効果をもたらさないということがわかりました。
また、ラットの結果ですが、ランニングによって神経細胞が増えるようです。
そして、ウォーキングやランニングによって「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されるため、うつにも効果あり。
もしかしたら、ランニングによって神経細胞が増えることもうつに効果がある一因かも?
という話でした。
もし、他にもランニングと脳に関する面白い論文があれば、Twitter(@atskikuchi)のDMで教えていただけると嬉しいです!
それでは!